はじめに
蒸し暑い日が続いていますね。ほぼ毎日のように熱中症のことがニュースで流れてくるようになりました。
実際のところ熱中症で救急搬送される方は年々増加しており、昨年は約7万人だったそうです。これは5月~9月の4ヶ月の人数ですので、決して少なくないと思います。
熱中症といっても、中には生命に関わる場合や脳などに後遺症を残す場合もあります。どんな場面で・どんな人が熱中症になりやすいのか、どんな症状が出るのかなど、熱中症のことを知れば、きっと熱中症の予防につながるはずです。
夏本番を控えた今、2回に分けて熱中症について書こうと思います。
熱中症を正しく恐れるための一助になれば幸いです。
熱中症が起こりやすい条件とは
熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」と定義されます。
人のからだには体温調節機能が備わっており、本来は気温が高くなれば発汗などで熱を逃します。しかし、いくつかの要因によって、そのバランスが崩れることで熱中症は起こります。
熱中症が起こりやすい条件として「環境」の要因と「からだ(人、体調)」の要因があります。
【熱中症が起こりやすい環境】 気温が高い、湿度が高い、日差しが強い、風が弱い、急に暑くなる
【熱中症になりやすい人】 高齢者、乳幼児、肥満の方、糖尿病や心臓病などの持病がある方
【熱中症になりやすい時】 脱水、寝不足、飲酒後
体温調節機能が弱い人もしくは弱っている人が、熱産生しやすい環境に過度にさらされると熱中症をきたす、といったところです。
熱中症の症状
次に、熱中症の分類(重症度)とそれぞれの症状についてです。
Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分類されます。
【Ⅰ度(軽症)】 めまい、立ちくらみ、食欲低下、失神発作、手足のしびれ、大量の発汗、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)
【Ⅱ度(中等症)】 頭痛、嘔吐、倦怠感、虚脱感、集中力や判断力の低下
【Ⅲ度(重症)】 意識障害(もうろう、昏睡)、発汗停止、高体温、歩行障害、けいれん
上記の通り、熱中症の症状は多岐にわたります。
特にⅠ度(軽症)では、一見熱中症らしくない症状も多いと思われるかもしれません。意外かもしれませんが、汗が出ていないのはむしろ危険な状態です。
Ⅱ度(中等症)以上になると病院受診が望ましいとされています。Ⅰ度(軽症)のうちに適切な対処※を取れば、症状の進行を防ぐことができます。
※風通しのよい日陰や涼しい屋内に移動する、衣服を緩める、水分と塩分を摂取する、皮膚を冷やすなど
さいごに
みなさんの周りにはリスクが高い方(熱中症になりやすい人)もいらっしゃるかもしれません。
みなさん自身も熱中症に注意するとともに、周りのリスクが高い方に熱中症のサインが出ていないか、ぜひ気にしてあげてください。熱中症で救急搬送される人が1人でも減ることを願うばかりです。
次回は熱中症シリーズの後編として、具体的な予防方法について書こうと思います。