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-合併症と併存症-

糖尿病は「血管の病気」と言われることがあるように、高血糖が続くと血管にダメージが蓄積されていきます。

 

特に細い血管の障害を「合併症」と呼びます。
合併症の進み方にも個人差(体質の影響)がありますが、血糖マネジメント(HbA1c 7.0 %未満)によってリスクを下げることができます。

 

「併存症」は糖尿病と「併存しやすい」病気のことで、動脈硬化による病気(太い血管の障害)や歯周病などがあります。

リストマーク合併症

【神経障害】

神経は血管とともに全身に張り巡らされており、神経障害は合併症の中で最初に出てくることが多いとされています。

足の裏の違和感や感覚が鈍くなる、ピリピリ・チクチクといった痛み、しびれといった末梢神経障害から始まることが多いです。自律神経が障害されると、立ちくらみやふらつき、胃腸障害(胃もたれ、便秘や下痢)が出ることがあります。
排尿障害(尿意の低下)や、男性なら勃起障害などの原因にもなります。
神経、眼、腎臓の頭文字をとって「しめじ」と言ったりします。

【網膜症】

目をカメラに例えると、網膜はフィルムに相当する部分で、光を感知することで物の形や色の情報を脳に送っています。

網膜には細い血管が張り巡らされており、高血糖が続くと網膜に障害が出ることがあり、網膜症と呼びます。大人の失明原因で、緑内障に次いで2番目に多いのが糖尿病網膜症です。
ものが見えにくくなるといった自覚症状が出た時には、すでに網膜症が進行している恐れがあります。自覚症状がなくても定期的に眼科に通院することが、目を守るために大切です。

【腎症】

腎臓は、血液中の老廃物を尿として体の外に出させたるだけでなく、赤血球の産生や骨のバランスにも関わっています。

体に必要なものと不要なものを分けるフィルターの役割をする糸球体には、細かい血管が張り巡らされています。実際に、腎不全となり人工透析に至る原因で、20年以上糖尿病が最多となっています。
早期の腎症では尿に異常(アルブミン尿や尿蛋白)が出るので、尿検査は腎臓の状態を評価するのに適しています
ちなみに糖尿病に併存しやすい高血圧も腎不全の原因の3位(高血圧性腎硬化症)ですので、あわせて対処する必要があります。

3大合併症である神経、眼、腎臓のイメージイラスト
併存症の足壊疽、脳血管障害、虚血性心疾患のイメージイラスト

リストマーク併存症

【大血管障害】

動脈硬化はいわば血管の年輪(老化)のようなもので、加齢とともに血管のしなやかさが減るのは仕方がない面もあります。

しかし、動脈硬化を進めるいくつかの要因が知られており、糖尿病も動脈硬化のリスク因子の1つです
動脈硬化が進むと、血管が詰まったり破れたりといった、命にかかわる病気や、助かった場合も重い後遺症を残してしまう病気が起こることがあります
合併症の「しめじ」に対して、足壊疽(え)、脳血管障害(の)、虚血性心疾患(き)の頭文字をとって「えのき」と言ったりします。

【足病変】

神経障害や循環障害などにより、糖尿病があると足にトラブルが起こりやすくなります。

白癬菌などの感染、足の変形やタコなどをまとめて糖尿病足病変といいます。
ささいな傷から菌が入り足の組織が腐ってしまう(足壊疽)と、最悪の場合、足を切断しなければならない場合があります。
当院ではフットケアとして、足のチェックやメンテナンスを行うことができます。

【歯周病】

糖尿病があると歯周病になりやすい、また歯周病になると血糖値も高くなるという風に、糖尿病と歯周病には深い関わりがあることが知られています。

逆に歯周病が良くなると血糖値も下がることが期待できます。
何より「歯は健康の入口」であり、美味しいものをよく味わって食べていただくために、かかりつけの歯科をお持ちになることを強くお勧めします。