糖尿病診療
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糖尿病とは「インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」と定義されます。「血糖値」と「インスリン」がキーワードです。
糖尿病をもつ全ての方が「糖尿病とともに幸せに生きる」ことができるよう、上手に糖尿病と付き合うためのコツを一緒に見つけていきましょう。
糖尿病は体からのメッセージです。何気なく食べていたものを「意識する」ことでもっと美味しく味わうことができるかもしれません。さらに、体を楽しく動かすような趣味に出会えるかもしれません。
むしろ『糖尿病と出会えたから人生がより豊かになった』そう思ってもらえる方が1人でも多くなることが私たちの願いです。
「血糖」は血液中のブドウ糖のことで、ブドウ糖は体にとても大切なエネルギー源です(脳の唯一のエネルギー源!)
食事中の炭水化物がブドウ糖に分解され、腸から血液に入ってきます。
すると血糖値が上がるわけですが、それを感知して膵臓から「インスリン」というホルモンが出ます。インスリンによってブドウ糖は体内(筋肉や脂肪)に取り込まれ、その結果として血糖値は下がります。 本来、血糖値は70~140 mg/dLに保たれているわけですが、インスリンの作用が十分でなくなると血糖値が高くなります。
慢性的に血糖値が高い状態が糖尿病です。 血糖値(空腹時≧126mg/dL、食後・随時≧200mg/dL)やHbA1c(過去1~2ヶ月の血糖の平均を反映するマーカー)を用いて診断します。
インスリンの作用不足は
(1)インスリンの分泌が少なくなる
(2)インスリンが効きにくくなる
ことによって起こります。
(1)と(2)がそれぞれどのくらいの割合で関与しているかは、糖尿病をもつ方一人一人異なります。
インスリンを分泌する力は遺伝(体質)によって決まっており、また加齢によってインスリンの分泌は少なくなります。
(2)はインスリン抵抗性と呼ばれ、内臓脂肪や運動不足などが原因になります。
糖尿病には、自己免疫などによってインスリンを作る膵臓の細胞が壊される「1型糖尿病」、糖尿病の90%以上を占める「2型糖尿病」とに大きくは分類されます。
比較的生活習慣との関わりが深いとされる2型糖尿病でも、遺伝因子(体質)によるところが多かれ少なかれあるということです。「アレが悪かった」といった罪悪感を抱いたり、糖尿病であることを恥じたりする必要は一切ありません。
日本人は欧米人に比べて元々インスリン分泌力が弱く、食の欧米化(高脂肪食)や交通網の発達(運動量の低下)もあり、糖尿病をもつ方はこの50年で増え続けています(2018年には約1000万人と推定)。
血糖値が高くなると、トイレが近くなる、尿がたくさん出る、のどが渇く、などの症状がみられることがあります。
倦怠感(体がだるい、疲れやすい)や意図しない体重減少の原因にもなります。とはいっても、糖尿病(特に初期)は無症状であることが多いです。
高血糖が続くことで、細い血管がダメージを受けます(細小血管障害)。また、血圧や脂質などとともに動脈硬化(大血管障害)のリスクとなります。
これら「血管」の病気のリスクを下げることが血糖値をマネジメントする理由の一つです。
また高血糖とは、裏を返せば摂取したブドウ糖をエネルギーに変えたり、体内に蓄えたりする力が落ちているということです。
実際に、高血糖は体の筋肉量の低下と関連があると言われており、筋肉を減らさないことが血糖マネジメントの観点からも有効です。
ご年配の方では、フレイル(要介護の手前の状態)対策が重要となります。