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院長ブログ19-ジグリングのすすめ|糖尿病内科 むらまえクリニック

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「ジグリングのすすめ」

 短かった梅雨が去り、早くも夏本番といった暑い日が続いています。今年の夏も、すごく暑くなるらしいですね。
散歩などの運動を日課にされている方も、厳しい暑さの期間は熱中症の不安等もあり、運動量が減ってしまうかもしれません。

 そこで、日常生活の中で行える身体活動として「ジグリング」というのがあります。
第11回のブログでもVILPA(日常生活における間歇的で活発な身体活動)を紹介しました。
VILPAは屋外で行うものが多いのに対して、今回紹介する「ジグリング」は基本的に屋内で行うことができます。

 

ジグリングのイメージイラスト 貧乏ゆすり
<ジグリングとは>

 早速、ジグリングの方法を紹介します。

  1. 足の裏が床につくくらいの高さの椅子を用いて、膝の角度が90度以内になるように座ります。
    両足は開いていても、閉じていても問題ありません。
     
  2. つま先を床につけたまま、かかとを小刻みに上下させます。 左右のかかとを交互もしくは両かかとを同時に動かします。ちなみに、かかとは床から2cmほどあげます。

 

ジグリングと格好良く呼んでいますが、その動きを分かりやすく言うと「貧乏ゆすり」です。江戸時代、貧しい人が寒さでブルブル震える動きから貧乏ゆすりと呼ばれるようになったそうです(諸説あり)。
イライラしている、せっかちな人といった印象を与えてしまう動きや、そもそも名前から良いイメージが抱きづらい貧乏ゆすりですが、実は健康へのメリット多いことが分かっています。

 

<ジグリングの効果>

まず、ジグリングと消費カロリーに関する研究を紹介します(Am J Clin Nutr.2000;72:1451-1454.)。座ったまま安静にしているのと比較して、消費カロリーは、座ったままジグリングすることで約1.5倍(+54%)、立った状態でジグリングすることで約2倍(+94%)になりました。
ジグリングは、意外とカロリーを消費できる運動と言えます。

 

次に、ジグリングによって「第2の心臓」とも呼ばれる足の筋肉を動かすことで血液の巡りが良くなり、下半身の冷えやむくみを改善させることが期待できます。夜間尿でお悩みの方にとっては、足のむくみが減ることで、夜間尿が改善するかもしれません。
また、静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)のリスクも下げることができます。
関節痛(変形性股関節症)への有効性も報告されています。

 

さらに、ジグリングすることで、なんと長生きにつながるかもしれません。
イギリスの女性13000人を対象に、座位時間とジグリングの程度ごとに全死亡(死因を問わない死亡)のリスクを検討した研究で、しっかりジグリングをすることで死亡リスクを減少させる可能性が示唆されました(Am J Prev Med.2016;50(2):154-160.)。

 

<まとめ>

暑い季節、運動不足にならないための対策の1つとして、ジグリングを紹介しました。
「運動する時間を増やす」のは難しい方も、「動かない時間を減らす」ことが健康のために大切です。

 さいごに、人前でジグリングすることは周りの人を不快にしてしまうかもしれないので、なるべく避けた方が良いと思います。1人で何気なく座っている時間(テレビを観たりスマホをいじったり)に、ジグリングをしてみてはいかがでしょうか。
いつか、その動きが「健康ゆすり」と呼ばれる日が来るかもしれません。

2024年7月29日