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院長ブログ33-その症状、夏バテではなく実は・・|糖尿病内科 むらまえクリニック

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33
その症状、夏バテではなく実は・・

9月下旬になり、ようやく夏の終わりを感じられるようになりました。長く続いた猛暑によってバテ気味だった方は、少しホッとしているのではないでしょうか。
今回は、様々な体の不調の裏に隠れているかもしれない「鉄不足」について取り上げます。

 

貧血の人 鉄分足りていますか?

鉄の働きと代謝

鉄と聞くと金属をイメージするかもしれませんが、私たちの体内にも約3〜5グラムの鉄が存在しています。体内の鉄の約70%は赤血球中のヘモグロビンとして存在し、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。筋肉内で酸素を貯蔵し、運動時に酸素を供給するミオグロビンにも鉄は含まれます。残りの鉄は肝臓や脾臓などで貯蔵鉄として存在します 。
また、鉄は体の中でエネルギーを作る仕組みでも重要な役割を果たしています。私たちが食べた栄養素からエネルギーを取り出すときに働く様々な酵素を、鉄がサポートしているのです。
まとめると、全身に酸素を届けるのみならず、エネルギーを生み出すためにも鉄が必要です。すなわち鉄は生命活動に不可欠なミネラルといえます。

 

 

鉄不足によって起こりうる症状

先述した通り、鉄は酸素運搬やエネルギー産生において重要な役割を果たすので、鉄不足は労作時の息切れや易疲労感(疲れやすい)の原因になります。その他にもさまざまな症状が報告されています。

 

  1. 全身症状:倦怠感、易疲労感、労作時の息切れ、運動能力の低下、頭
  2. 皮膚・粘膜:蒼白、口腔や皮膚の乾燥、萎縮性舌炎、口角炎、脱毛
  3. 神経・精神:めまいやふらつき、冷え性、むずむず脚症候群、うつ、パニック障害、朝起きられない
  4. その他:異食(氷など)、嚥下障害、難聴

 

鉄不足が長期化している方では、治療後にはじめて症状があったことを自覚することもあるそうです。

 

鉄不足を早く見つけるために

鉄不足の状態が続くと、まずは貯蔵鉄が減少します。次に血中の鉄、そしてヘモグロビンを構成する鉄が減少し、貧血となります。つまり鉄欠乏性貧血というのは、鉄不足の最終段階です。

貧血がなく(赤血球数が正常)、鉄が不足した状態を「潜在性鉄欠乏」といいます。貯蔵鉄の量を反映する指標であるフェリチンを調べることで、潜在性鉄欠乏を見つけられます(血清フェリチン値<30ng/mLで鉄不足の疑い)。

 

おわりに

暑さによる夏バテで食欲が落ちると、鉄を多く含む食品(肉や野菜)の摂取量は減りがちです。また、冷たい飲食物は鉄の吸収を妨げる可能性があります。発汗による鉄の喪失増加も相まって、夏は鉄不足になりやすい季節です。

とはいえ、胃腸疾患や婦人科疾患など重大な病気が鉄不足の原因である場合もあり、かかりつけ医など医療機関に相談されるのが良いでしょう。

 

 

 

2025年9月24日