一気に冬本番となり、体調を崩しやすい季節がやってきてしまいました。今年はインフルエンザの流行が例年よりも早いと、ニュース等で話題になっていました。
診療していると「これまで一度もインフルエンザにかかったことがない。」と話す方や、一方で「去年は2回インフルエンザにかかった。」と話す方もいらっしゃいます。
インフルエンザにかかりやすい人とかかりにくい人の違いは何なのか、気になりませんか?そんな疑問への答えのヒントになるかもしれない報告を紹介しようと思います。

今年流行りの「サブクレードK」について
日本では、インフルエンザは12月頃から流行が始まり、翌年の1月下旬から2月にかけてピークを迎える傾向があります。しかし、今年は10月下旬からインフルエンザにかかる人が急増し、11月中旬には流行警報基準(定点あたり30人/週)を超える地域が多くみられました。その要因の一つと考えられているのが、サブクレードKと呼ばれる新たな変異株です。
サブクレードK(Subclade K)は、インフルエンザA型H3N2亜型の一種です。インフルエンザウイルスは、大きい順から型→亜型→クレード→サブクレードに分類されます。クレード以下は遺伝子レベルの分類(枝)で、サブクレードKは、より細かい変異(小枝)の一つということになります。
症状は従来のインフルエンザと同様で、症状の強さや重症化リスクが大きいということはなさそうです。タミフル®などの抗ウイルス薬も有効と考えられています。ちなみに、インフルエンザワクチンにはA型H3N2亜型は必ず含まれています。
インフルエンザにかかりやすい人の特徴
弘前大学などが岩木健康増進プロジェクト(青森県弘前市)の健診データを用いて、インフルエンザにかかりやすい人の特徴を分析した研究結果が発表されました(Sci Rep.2025;15:30721.)。
その結果、インフルエンザにかかりやすい人の特徴として、以下の5つが示されました。
このように、インフルエンザのかかりやすさが「血糖」「栄養」「睡眠」「肺の状態」「アレルギー」の複合的要因によって決まることが明らかになりました。また、5つの特徴を複数有していると、インフルエンザにかかるリスクも高くなることが示唆されています。
おわりに
糖尿病はインフルエンザの重症化リスクの一つと言われることがありますが、インフルエンザのかかりやすさについては、「糖尿病があること」ではなく、「血糖が高いこと」がリスクになるという点が重要だと思います。また、血糖マネジメントのためにバランスの良い食事や良好な睡眠をとることそのものが、インフルエンザにかかるリスクを下げることにつながります。
冬はインフルエンザのほかにも、呼吸器感染症などを引き起こす様々なウイルスが猛威を振るう季節です。栄養バランスと睡眠で体調を整え、健やかに良い年をお迎えください。
2025年12月22日