少し前まで暑かったのが噓のように一気に寒くなりました。
涼しくなれば運動しようと思っていたら今度は寒くて外に出るのすらおっくうに、となっていませんか。
そんな方におすすめしたいのがVILPA(ヴィルパ)です。以前に日本糖尿病学会が行った調査で、運動療法が難しい理由として最も多かったのが「運動する時間がない」でした。また「運動する場所がない」もその上位でした。
今回紹介するVILPAは、場所も要らず、1日数分で効果が期待できるという話です。
VILPA(ヴィルパ)とは
Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activityの略で、直訳すると「日常生活における間歇的で活発な身体活動」となります。具体例として以下のようなものが挙げられます。
移動や家事といった日常生活の身体活動において、少し負荷がかかって短時間でも「ややきつい(息が上がる)」と感じるものがVILPAということになります。
VILPA(ヴィルパ)の効果
イギリスの観察研究で、1~2分間のVILPAを毎日3回行うだけで、全死亡率(死因を問わない死亡)およびがん関連死亡率が最大40%減少し、心血管疾患関連死亡率が最大49%減少することが明らかになりました
(Nature Medicine. 2022;28:2521-2529.)。
また、VILPAと発がんリスクとの関連(1日3~4分のVILPAでがん罹患リスクが17%減)も最近報告されました。
こちらの詳細については、松田友和医師(糖尿病内科まつだクリニック)のマイベストプロの記事をご参照ください。
VILPAが心血管疾患やがんのリスクを下げるのは、インスリン抵抗性を改善することがその要因の一つと考えられています。インスリン抵抗性を改善するのであれば、VILPAは血糖値を下げるためにも有効と言えます。
筋力アップや脂肪燃焼に有効な運動療法として、HIIT(ヒット, High Intensity Interval Training: 高強度インターバルトレーニング)が近年注目されています。
HIITが筋トレとしてジムなどで行うのに対して、日常生活の一部として行えるのがVILPAです。
VILPAはHIITと同様の効果が期待できるとされています。
日頃から階段を使っておられる方は一段飛ばしに、今は階段を使ってないという方は階段を使うよう意識することからはじめてみてはいかがでしょうか。何より「健康のために良いことをしている!」と思いながら(自分を褒めながら)行うことが継続につながると思います。
便利な世の中で「できればラクしたい」のは当たり前です。ですが1日数分だけでも手間と不便をかけて身体に負荷をかけてみる、これが元気で長生きするための秘訣かもしれません。
みなさんも各々の日常のなかでVILPAを見つけて、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。