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院長ブログ20-毎日測るだけで良くなる法則?|糖尿病内科 むらまえクリニック

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「毎日測るだけで良くなる法則?」

残暑厳しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。オリンピックや高校野球など、テレビの前で座っている時間が長くなり、体力の衰えを感じていたりしませんか?前回紹介したジグリング(貧乏ゆすり様の運動)、やってみましたか?

今回は「〇〇するだけで歩数が増えるかも」という話です。その〇〇とは、なんと「歩数を測る」なのです。人目があってジグリングが難しいという方も、ぜひ歩数を測ってみてほしいと思います。

 

毎日体重を測るイメージイラスト 毎日体重計に乗る「だけ」で減量につながる

少し話は変わりますが、「減量には毎日体重を測ることが有効である」というのを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。実際にレコードダイエットと呼ばれる減量方法に組み込まれていますし、グラフ化体重日記もこの考え方を基にしています。

 

毎日体重を測ることがどう体重に影響するかを検討した研究の1つを紹介します(Obesity (Silver Spring).2013;21:1789–1797.)。
対象者91名(平均体重90 kgほど、平均BMI 32 kg/m2ほど)を、毎日体重計に乗るよう指示した人(体重を測る群)と何も指示しない人(対照群)に分けました。体重を測る群では、日々の体重変化をウェブ上で見ることができました。
6ヶ月後の体重は、対照群でほぼ不変(0.35 %の減少)だったのに対して、体重を測る群では6.6 %(約6 kg)減少していました。

 

毎日歩数計を身につける「だけ」で歩数アップにつながる

本題に戻ります。先ほどの体重と同様に、歩数を測ることが歩数アップにつながる可能性を示した研究があります(Am J Health Behav.2022;46:347-357.)。
対象者90名を、歩数計を常に身につけるよう指示した人(歩数計あり群)と何も指示をしない人(対照群)に分けました。
歩数計あり群では、歩数を意識したり記録したりするよう求められました。
対照群は歩数のデータを、スマートフォンのアプリから採取されました。
2週間後の歩数を比較したところ、歩数計あり群では、対照群より1日あたりの歩数は388歩多く、これは統計学的に有意でした。

 

歩数を毎日測る女性イメージイラスト紹介した2つの研究において、厳密には「毎日測ること」にくわえて「その数値を見る(意識する)」ことが、結果に寄与しているのだと思います。日々の数値、数値の変化などを実際に観察し、追跡(ふり返る)ことで、意識的ないし無意識的に自分自身を健康的な方向に調整することにつながると考えられています。
すなわち、測ることは改善のはじめの一歩なのかもしれません。
ちなみに、タイトルの「毎日測るだけで良くなる法則」というのは、私が勝手にそう呼んでいるだけです。

 

さいごに

医学の父と呼ばれるヒポクラテス(紀元前5世紀)は「歩くことは人間にとって最良の薬」という言葉を残しています。大昔から、心身ともに健康であるためには歩くことが重要であると考えられていたのでしょう。
現代を生きる私たちには歩数を測る術があります(何ならスマホを持っていれば勝手に記録されています)。
せっかくですので、日々の歩数を測定してみてはいかがでしょうか。
そして、歩数が増えた喜びを私たち医療スタッフと共有してもらえると嬉しいです。

2024年8月27日