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院長ブログ31-夏バテ予防にぐっすり(good sleep)を|糖尿病内科 むらまえクリニック

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31
夏バテ予防にぐっすり
(good sleep)を

あっという間に梅雨が過ぎ去り、早くも夏本番と言える暑い日が続いています。寝苦しい暑さのせいで、十分な睡眠を取れていない方が多いのではないでしょうか。
高温多湿だったり日照時間が長かったりと、夏は睡眠の質が落ちやすいとされています。
夏の初めの今回は「睡眠を良くするための非薬物療法(睡眠衛生)」についてです。余談ですが、本テーマは23回の最後に予告していましたので、よろしければ23回(睡眠薬を飲むと認知症になる?!)もご一読ください。

 

睡眠障害とは

睡眠障害とは、睡眠の「質」や「量」、「タイミング」に問題があり、日常生活に支障をきたす状態のことです。
睡眠障害には90以上のタイプがあり、原因や症状もさまざまです。睡眠障害は主に不眠症、睡眠呼吸障害、概日リズム睡眠障害、過眠症、むずむず脚症候群、レム睡眠行動異常に分類されます。不眠症のイメージイラスト
そのなかで最も一般的なのが不眠症で、入眠困難(寝つけない)、中途覚醒(途中で目が覚める)、早朝覚醒(早朝に目覚めてしまう)、熟眠感欠如(熟眠感がない)といった症状が含まれます。
日本の成人の30~40%が何かしらの不眠症状を有すると報告されています。

 

少し前(2025年4月)、医療機関の標榜診療科名として「睡眠障害」を追加する要望書が、日本睡眠学会らによって厚生労働省に提出されました。近い将来、「睡眠障害内科」を標榜する病院や医院が出てくるかもしれません。

 

睡眠衛生とは

健康的な睡眠を促進し、睡眠障害を防ぐために推奨される生活習慣、行動、環境や条件のことを「睡眠衛生」といいます。
衛生という言葉は「生を衛(まもる)=健康をまもる」から、すなわち健康の増進を図り、病気の予防・治療に努めることを意味します。
睡眠衛生の具体例を挙げてみます(厚生労働省「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」報告書)。

  • 睡眠薬代わりの寝酒は避ける
  • 就寝前4時間のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙を避ける
  • 就寝前1~2時間のスマホ、パソコンなどのブルーライトを避ける
  • 就寝前にぬるめの入浴、読書、音楽などで心身を落ちつかせる
  • 眠くなってから寝床につく(眠れなければ寝床を離れる)
  • 毎日同じ時刻に起床する
  • 目が覚めたら日光を浴び、体内時計をリセット
  • 昼寝をするなら午後3時まで、30分以内に
安眠している女性のイメージイラスト

大前提として、睡眠時間は人それぞれであり「〇時間以上寝ないといけない・・」と神経質になる必要はありません。
日中の眠気で困らなければ十分、くらいのメンタリティが良いと思います。

 

寝だめは疲れを取るだけではない?!

話は少し変わりますが、「寝だめ」に関する最近の知見を紹介します。
日々の睡眠不足を週末や休日に補う寝だめは「キャッチアップ睡眠」と呼ばれたりします。
米国成人を対象とした研究で、寝だめ(週末の睡眠時間が平日より1時間以上長い)する人は、肥満や高血圧のみならず、心血管疾患の有病率が低かったと報告されています。(Sleep Health.2024;10:98-103.)また、短時間(0~2時間)の寝だめが、うつ症状の改善に有効だったと報告されています(J Affect Disord.2024;354:36-43.)。
一方で、長すぎる寝だめは体内時計をくるわせる(ソーシャルジェットラグ=社会的時差ぼけ)ことで、日中の眠気や疲労感につながってしまう可能性があります。
先述した睡眠衛生を組み合わせたうえで、休日に普段より0.5~2時間長く寝ることは、ソーシャルジェットラグをおこさずに心身へのメリットがあるかもしれません。

 

おわりに

何かしら不眠の症状があるものの、なるべく薬には頼りたくないと思っておられる方がきっと多いはずです。
軽度や一時的な不眠症であれば、睡眠衛生によって改善する可能性があります。
睡眠にとって「良くない」習慣は、無意識に身についていることが多いとされています。
睡眠衛生を意識・実践することで、睡眠の量・質を向上させ、酷暑の夏を乗り切りましょう。

 

 

2025年7月23日